アルミの性質・特徴
当店のアルミケースには「ジュラルミン」と呼ばれるアルミ合金 A2017Sが使われています。さて、このアルミ合金を含む「アルミニウム」という材質ですが
まずアルミニウム全般の特徴として
1. 軽い
2. 強い
3. 耐食性がよい
4. 加工性が良い
5. 電気伝導性が良い
6. 磁気を帯びない
7. 熱伝導性が良い
8. 低温に強い
9. 反射性が良い
10. 毒性がない
11. 美しい
12. 鋳造しやすい
13. 接合しやすい
14. 真空特性が良い
15. 再生しやすい
などがあげられます。
以下より、アルミニウムのそれぞれの特徴について
少し詳しく述べてみたいと思います。
1. 軽い
アルミニウムの比重は2.7。鉄(7.8)や銅(8.9)と比べると約1/3で、チタンとくらべても40%も軽いため、軽量化による性能向上が時代のニーズとなっているいま、自動車、鉄道車両、航空機、新幹線、船舶、コンテナなど、あらゆる輸送機器の軽量化、省エネ化のためにアルミニウムが役立っています。
また軽さを生かして、各種機械の高速回転部品や摺動部品の作動効率を高め、装置の大型化による重量増加を抑えるなど、さまざまな効果をもたらしています。
2. 強い
アルミニウムは比強度(単位重量当りの強度)が大きいため、輸送機器や建築物などの構造材料として多く使用されています。 純アルミニウムの引張強さはあまり大きくありませんが、これにマグネシウム、マンガン、銅、ケイ素、亜鉛などを添加してアルミ合金(ジュラルミンなど)にしたり、圧延などの加工や、 熱処理を施したりして、強度を高くすることができます。最近では、リチウムを添加した低密度、高剛性の合金が開発され、航空機や大型構造物用の材料として 注目されています。
3. 耐食性が良い
アルミニウムは空気中では、ち密で、安定な酸化皮膜を生成し、この皮膜が腐食を自然に防止します(皮膜の自己補修作用)。甲子園球場の銀傘のように浜風にさらされる場所で30年間使用されても、問題は生じなかったという事例もあり、耐食性をさらに高め、強度も兼ね 備えたアルミ合金は各種の用途に採用されています。
4. 加工性が良い
アルミニウムは塑性加工がしやすく、さまざまな形状に成形することが可能です。たとえば、紙のように薄い箔や、複雑な形状の押出形材を容易に製造すること ができることから、板、箔、管、棒、形材などきわめて広い用途で使用されています。また、できあがった製品素材をさらに曲げ、切断、絞りや溶接など成形加工したり、製品の表面などに精密加工を施したりするこ とも比較的容易です。また切削加工性にもすぐれており、金型などの工具類や機械部品に使われています。
5. 電気伝導性が良い
アルミニウムは導電体としてきわめて経済的な金属です。電気伝導率は銅の約60%ですが、比重が約1/3であり、そのため同じ重さの銅に比べて2倍もの電流を通すことができます。現在では高電圧の送電線の約99%に採用されるとともに、導体(板・管)などに広く使われており、エネルギー利用、エレクトロニ クス分野での需要が大きく伸びてきています。今後、自動車のワイヤーハーネスへの適用拡大が期待されます。
6. 磁気を帯びない
アルミニウムは非磁性体で、磁場に影響されません。この特長は、アルミニウムの他の特性である、軽い、耐食性にすぐれている、加工性がよい、などと組合わせることによって、さまざまな製品に生かされます。
おもな製品としては、パラボラアンテナ、船の磁気コンパスなどの計測機器、電子医療機器、メカトロニクス機器などがあげられますが、さらにはリニアモーターカーや超電導関連機器にいたるまで、その用途が大きく広がっています。
7. 熱伝導性が良い
アルミニウムの熱伝導率は鉄の約3倍。熱をよく伝えるということは急速に冷えるという性質にもなります。
そのため冷暖房装置、エンジン部品、各種の熱交換器、ソーラーコレクター、また、飲料缶などにもこの特性が生かされています。また、最近の高密度化した機器、システムの過熱防止のための放熱フィンやヒートシンク、プラスチックやゴムの成形用金型などにもアルミニウムが使われます。
8. 低温に強い
アルミニウムは鉄鋼などと違って液体窒素(−196℃)や液体酸素(−183℃)の極低温下でも脆性破壊がなく靭性が大きいのが特長です。低温プラントや LNG(−162℃)のタンク材として使われているうえ、最近では宇宙開発やバイオテクノロジー、極低温の超電導関連といった最先端分野でもこの特性が脚光を浴びています。
9. 反射性が良い
よく磨いたアルミニウムは、赤外線や紫外線などの光線、ラジオやレーダーから発する電磁波、さらに各種熱線をよく反射します。純度の高いアルミニウムほど この性質はすぐれており、純度99.8%以上のアルミニウムは放射エネルギーの90%以上を反射します。この特性を生かしたのが暖房器の反射板、照明器具、および宇宙服などで、最近ではアルミニウムに鏡面加工を施してこの特性をいっそう高め、ポリゴンミラーをはじめとした光エレクトロニクス製品にもよく使われています。
10. 毒性がない
アルミニウムは、無害・無臭で衛生的。万−なんらかの化学作用で金属が溶出したり化合物をつくったとしても、重金属のように人体を害したり土壌をいためたりしません。この特性を生かして、食品や医薬品の包装、飲料缶、医療機器および家庭用器物などで広く使用されています。
11. 美しい
アルミニウムは素地のままでも実しい金属ですが、陽極酸化皮膜処理(アルマイト処理)などさまざまな表面処理を施すことによってより美しくなり、また表面を 硬くしたり、防食効果を高めたりすることができます。陽極酸化皮膜処理の際に自然発色や電解着色などによってアルミニウムに多彩な色をつけることが可能であり、建築外装や包装材などデザイン性が強く求められる分野に最適の材料です。
12. 鋳造しやすい
アルミニウムは融点が低い、溶けた状態でも表面が酸化皮膜で覆われガスを吸収しにくい、湯流れがよいといった性質をもっています。このため薄肉の鋳物や、 複雑な形状の鋳物をつくることができます。アルミ鋳造品はピストン、シリンダーブロック、ホイールなどの自動車部品、また各種産業機械部品など幅広い分野 で使用されています。
13. 接合しやすい
溶接、ろう付け、はんだ付け、電気抵抗溶接、リベット接合、接着など、さまざまな方法で容易に信頼性の高い継手が得られます。これらの接合技術の進歩はめざましく、より多くの分野で設計と施工の合理化を実現します。
14. 真空特性が良い
アルミニウムを真空装置の材料に使ったとき、ガス放出率が非常に小さく真空到達性能が他の材料に比べてたいへんすぐれています。そこで、各種の高真空ポンプや配管、高真空半導体装置、理化学実験装置などに活用されています。
15. 再生しやすい
アルミニウムは他の金属と比べ腐食しにくく、融点が低いため、使用後のアルミ製品を溶かして、簡単に再生することができます。しかも二次地金(再生地金) をつくるのに必要なエネルギーは、新地金をつくる場合と比べてわずか3%ですむといわれています。また品質的にも、新地金とほとんど変らないものが製造で きるため、たいへん経済的な材料だといえます。とくに飲料缶では、空き缶を回収し再資源化しようというリサイクル運動が全国各地で行われており、省資源・ 省エネルギーを果すとともに、地球環境保護の推進にも大きな役割を担っています。このことは、今後ますます増加するアルミ需要に対する安定供給の大きな助けになります。
それでは、当店のアルミケースにも使われている
アルミ合金の一つである「ジュラルミン」とは、どういった金属でしょうか?
→アルミ合金 ジュラルミン A2017S とは に続く
[参考]
住友軽金属アルミワールド
サミット昭和アルミ株式会社
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